とか言った舌の根もかわかぬうちに。

by tanabe on January 29, 2009

Amazon のこのレビューが気になって、この本買うか迷っていたり(笑)下で言ったこと台無しだな。

最近、マッキンゼーなど戦略コンサルタント出身者が肩書きを売り文句に軽薄短小な問題解決方法に関する本を出版していたが、ツールの解説に留まっている感があった。

本書は従来の戦略本になかったツールも含めて多くのツールについて、その活用法、難易度、メリット・デメリットについて出し惜しみせずに丁寧に解説している。さらに問題解決に関する思考様式も大変わかりやすく解説している。本書で得られる力は経営に関する問題解決力のみならず日常の様々な面で力を発揮するはずだ。

私には元マッキンゼーの大前研一氏による企業参謀以来のインパクトのある本だった。

既に手元にある下巻を読むのが楽しみであると同時に、本書を繰り返し読んで血と肉にしたい。

レビューコメントは上巻のほうについていたもの。

問題解決の全体観 上巻 ハード思考編
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4 初学者に薦めたい本
3 問題解決一般としてよい
5 読んで実践すれば役に立つ
4 読むだけで血や肉になりそう
5 問題解決に関する名著誕生
問題解決の全体観 下巻 ソフト思考編
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おすすめ度の平均: 5.0
4 好みが分かれる
5 使い慣れることが必要
5 目からウロコ
5 「問題解決に取組む心構え」としてとても参考になっています
  

ブルーオーシャン戦略はレッドオーシャンの反対!。。。じゃないよ

by tanabe on January 29, 2009

あと、これは蛇足だけどブルーオーシャン戦略の紹介についてはウソに近いので信じないように。まぁ、あのエントリだけじゃなく Web で情報を読むとたいていポイントがずれてます。「戦略」と付いているのをなぜか無視しようとするものが多すぎます。

本を読めば一発でわかることですが、「ブルーオーシャンを行け!」なんて言葉に価値はないんです。そんなの最初から誰でもわかっている。そこに顧客にとっての新しい価値軸を生み出すためのツールとフレームワークを紹介している(そしてそこに戦略的に思考するための仕組みが入っている)のがすごいんです。(チャン・キムのチームはそのための体系だった分析と立案のプロセスも持っているはず。だからあの本は元からできる人はあの本でもやれるけど、できない人は読んでもできずにコンサルを依頼するというそういう本です。)

ブルーオーシャン戦略だって、けっきょくは魅力的で説得力をもった戦略キャンバスを描くことにほとんどの価値があるわけで、じゃ、その戦略キャンバスを描くための分析はどうするの?顧客を魅了する価値曲線はどういう風に見つけるの?と考えて、そこをある程度ロジカルに系統だててやろうとするとけっきょく必要になるのは kaz_ataka さんが言っていることがすべてなんじゃないの?ってことです。

Web でブルーオーシャン戦略の話を見ると、「ブルーオーシャンがあります。レッドオーシャンというものがあります。ブルーオーシャンを行きましょう。」というのをあたかもブルーオーシャン戦略かのように言っているものが多く、皆本当にチャン・キムの本を読んだのか不思議になります。

本としての「ブルーオーシャン戦略」は実はけっこうチャン・キムのそれまでの主張の総まとめみたいなものになっていて、Ajax のように良い名前をつけた瞬間爆発的に有名になった観があります。なんせ1999年にすでに「バリュー・ブレークスルー」「バリュー・イノベーション」と呼んで新市場を創造せよと言い「バリュー・ブレークスルー・マーケティング」という論文を HBR に発表していたわけです。書籍「ブルーオーシャン戦略」に出てくる「戦略キャンバス」も「ティッピング・ポイント・リーダーシップ」も自身の過去の論文を元にした内容です。

個人的には HBR で読んだ「ティッピング・ポイント・リーダーシップ」が忘れられません。ソフトウェア開発をよくするために組織を変えようとやってきた発想のベースはほとんどこれだったりします。達人プログラマーや XP を読んだのはこれよりも後、実際に組織を変えようとしていく中ででした。

ということで(?)、チャン・キムのすばらしい書籍を読みましょう。という話でした。

ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する (Harvard business school press)
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フレームワークについて読む暇あったら、このエントリを100回読むべき

by tanabe on January 29, 2009

はてブをちら見してあれだったんで、書いておきます。タイトルは釣りタイトルっぽいですが、そんなこともなくまったくもって正直な気持ちです。

圧倒的に生産性の高い人(サイエンティスト)の研究スタイル

フレームワークに踊らされるヒマがあったら、このエントリを繰り返し100回でも200回でも読んで実践してみるべきです。(こちらも1,000オーバーのブクマが付いてはいますね。)

それだけの価値がこのエントリにはあります。

どうしてもフレームワークについて読みたいなら、大前研一さんの「企業参謀」「続企業参謀」をやっぱり100回でも200回でも読んで、その後で「マッキンゼー現代の経営戦略」を読んで衝撃を受けて、そこで「企業参謀」に戻ってみたら衝撃を受けたはずのことがすべてその何べんも読んだはずのその本に書いてあったことに気付いてぶっとんでみればいいと思います。

最近では斉藤嘉則さんの本のほうが人気のようですが、本気で「考えること」のやり方と姿勢について書いてあるのは企業参謀だけです。表面上はツールもたくさん紹介されるので、そこにだまされずに読み込んでください。道に迷いそうになったら、kaz_ataka さんのエントリに戻って読み返せばよいと思います。最高のガイドラインです。(技術書でいえば、リファクタリングをツール集として読むか設計について考える本として読み解こうとするかの違いとでも言えばいいでしょうか。)

で、やっぱりイディオムとして知っておきたいなら最後に好きなだけフレームワークの紹介を読めばいいと思うのです。そういう本がいくらでも出てますし。(とはいえ、そもそもありものを使うのがフレームワークだというのに違和感があります。漠然と考えようとすると答えに向かわずに際限なく可能性を検討しちゃうから、そこを答えに向けて収束させていくために補助線を引くのがフレームワークであって、別に誰かが考えた思考の枠組みを使うのがフレームワークじゃないと思ってます。結果として選んだ道具がよく知られたフレームワークだった、というのは当然いくらでもありますが。)

最後に同じく kaz_ataka さんのブログから「噛みしめることを大切にしよう」を紹介しておきます。上で紹介したエントリと両輪にして「考える」ということについての指針にしています。

# この kaz_ataka さんの「ニューロサイエンスとマーケティングの間」と出会えたことは 2008 年の最高に幸せだったことの一つで、ここで紹介した話に限らずマーケティングの話についても過去のエントリを探してむさぼるように読んでしまった。言葉で言い表せないほどの感謝をしている。

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「質問があったらしてください」と言わなくても質問してもらうための4つのステップ

by tanabe on October 21, 2008

はてブで「卒業研究・修士研究時の悪循環を防ごう」というのが挙がっていたので、ぼくがふだんよく使っているツールを紹介しておく。

これはうつを防止するためのツールではなくて、日常のコミュニケーションの中で必要な質問をしてもらうためのツール。企業の中で使っているものだけど、他にも使える場面があるかと思う。

ということで、「質問があったらいつでもしてください」と言わずに質問を受け付けるための4つのステップ。

  1. 今なにをしているの?と聞く
  2. したことの説明を受ける
  3. 受けた説明について、そう考えた理由や今後についての見解を聞く
  4. 最後に、何か困っていることは?と聞く

以上。

詳細の説明は省くけど、それぞれに4つ目の質問が出てきやすいようなトリックが入っているのでバカ正直にこの順で毎日会話をすればいい。

ここに書かれていないことで前提の条件になりそうなこと(心構えとか)もいくつかあるけど、それは以前紹介した「この「聞く技術」で道は開ける」とか「3分間コーチ」とか読むとよいと思う。

ちなみに、「質問があったらいつでもしてください」は「質問がなければ声をかけるな」というメッセージも伝わってしまうので、ぼくは意識的に避けるようにしてます。

今読んだら、元ネタのコメント欄も興味深かった。  

2000人×4000円×12ヶ月のアプリを作って1億円稼ごう

by tanabe on April 22, 2008

reddit で見かけた DHH の話がおもしろい。こういう考え方の背景があって、だから、Rails なんだよなぁ、と納得してしまう。Java VS Rails みたいな枠組では意味のある議論にならないんだよな。(わざわざふっかけたのは Rails 側だけど)

37Signals のブログで本人も紹介していたので、そちらをリンクしておく。
http://www.37signals.com/svn/posts/981-the-secret-to-making-money-online

そして、気になった発言を超訳。かなり自分のためにデフォルメしているので、ちゃんと原文を聴くことを推奨です。

2,000 人から 4,0000 円を 12 ヶ月間集められると、9,600 万円になる!どうよ!?
レストランを開こうってときに、世界最高峰のイタリアンレストランを開こう!と思ってレストランを始める?そうじゃないとダメ?そんなことないでしょ!?近所で評判になるような、手ごろでかんじのいいイタリアンレストランを開いたら、それで十分でしょう。
映画のような大興行をやる必要なんてないってこと。
Where's the networking effect?
Forget viral.
10 hours per week to develop the Basecamp.
Realy focus your energy.
(たとえば、週に10時間というような)ふつうよりも少ない時間しかないってことは、ほとんどの人にとってすんごい効果的なんだ。 (Having a less time is really a huge benefit to most people.)
おっきな成果は目の前の小さなわかりやすい困りごとを解決した結果にすぎない。Rails Inc. 作って大儲け!とか考えて作ったわけじゃないんだよ。問題を明らかにして、それを解決して、同じことで困っている人に教えてあげるんだ。
  

しごと観シリーズ なにを考えるか

by tanabe on January 28, 2008

技術者として、ビジネスを通して技術者としての自分の価値を社会に還元したいと考える人は、皆この記事を読むべきである。

喜んでもらいたい。認めてもらいたい。そんな気持ちから更なる開発に拍車がかかる。何度かそんなやりとりが続き、もうだめかとあきらめそうになったとき生まれるブレークスルー。「ありがとう」「助かったよ」「すごいね」この言葉の魅力にとりつかれて、再び挑戦への道へ分け入る。

技術者を輝かせるもの

今月のオープンソースマガジンにみねろうさんのコラム(ハッカー養成所のやつ)が載ってるんだけど、すごいいいこと書いてた。

みねろうさん曰く「ハッカーになるには、自分はハッカーであり得るのだと覚悟すること」だと。ハッカーに限らず、何かになりたいと思ったら覚悟をすることだそう。覚悟を決めるというのは、何か難しい仕事がふってきたときに、「今の自分には無理だから」という理由で逃げるではなく、将来自分がイメージするハッカーになったつもりで、それをやってみるということらしい。

覚悟

何にせよ腹を括れば怖いものはない。「腹を括る」というのは「失うかもしれないもの」を確定させる、ということ。言うなれば「引き当て」。あとは、そこから「何をどれだけ得るか」。リスクとリターンの話。

これからは「デザイン」の時代。プロダクトを、サービスを、ビジネスをデザインする。デザインには物語が付いてくる。どれだけ顧客の「共感」を得られるか。不確定な時代には、定量的な評価よりも定性的な評価が重要なこともある。

最近思うこと

半年後にこうなっていたい、という風にまずはゴールを設定する。そこから割り戻してきて、じゃあそのためには、まずどうなっていないと駄目かを考えて、そこに至る方法を考える。こうやってどんどんと現在まで割り戻してきたときに、今の自分と今自分が出来ているべきことのギャップが見えてきます。そこで、そのギャップを埋めるために必要なことを考えて取り組んでいくのです。

きちんと未来につなげるためには、未来と向き合う覚悟が必要です。見たいものだけ見てても何も変わらないです。出来ない理由を並べるのではなく、出来るようになるためにまず具体的に何をやるべきか、を考えるところから始めるのです。未来が今からの逃避の延長では、きっとしょぼくなる一方です。こうなりたい、こうありたい、というゴールを決める。「自分で決める」という行為はモティベーションを超えます。リスクに向かい合う覚悟を作ります。まずは当座のゴールを決める。そこからはじまるのです。

ゴールから割り戻して考える

語るべきエピソードなしで成功という結果だけ掴んでしまうと、そこには「対等な関係を結ぶに足る人間が誰もない」「出会う人間がアホしかない」という荒涼とした世界が広がっているのだ。

「一日も早く成功しようとして努力することは...」

セイフティネットがない中で、家族とキャリアとパーソナル・ファイナンスのバランスをどう取るのか

「やりたくないこと」「やるべきではないこと」は、目先の損得にまどわされずに徹底的に断わり続けるという根性がないと、タイムマネジメントは絶対にできない。でもそれができると一日はものすごく長くなる。たくさんのことができる。そこにしかサバイバルの活路はないのである。

ロジャー・マクナミーの講演「The New Normal - Career, Family & Personal Finance」を読む
  

しごと観シリーズ 見晴らしのよい場所に立つ

by tanabe on January 25, 2008

世界で何が起ころうとしているのかが見える場所に行け。シリコンバレーなら、まずはGoogle。GoogleがダメだったらApple。いやYahoo かな。Oracleだっていい。シアトルならMicrosoftだな。こういうところは皆、「a great vantage point」((見晴らしのきく地点、よい観戦場所)なんだ。そういう会社で職を得れば、世界でこれから何が起ころうとしているかが皆見える。the next big thingが来たとき、そこに陣取っていれば、見ることができる。

若者はバンテージポイント(有利な場所)でキャリアを磨け

こんな話があります。ある企業のウェブアプリケーションエンジニアと数人で会話しているときのこと。「昨日○○というサービスをオープンしたよ。」「おお、あの規模のサービスだし結構時間かかったでしょう? 半年ぐらい?」「いや、フレームワークあるし三日くらいかな。」

彼らは私と同年代のソフトウェアエンジニアでした。環境こそ違えど、手がける仕事のドメインにそこまでの違いはないはず。しかし、ふとした会話の中にあったスピード感の違い、そして自分が日ごろ行っているプロセスとの違いに圧倒されたのは言うまでもありません。それが良いとか悪いとかいうことではなく、違う世界はすぐそこにあるのだなと実感させられた瞬間でした。

人との出会い、不連続な成長が作るキャリアパス

SE時代の上司と同僚と飲み。彼らの仕事環境、ビジネス、技術状況が2年前とほとんど変わっていないことに正直驚いた。やはりスピード感が違うのか、いまひとつ会話が成り立った気がしなかった。

企業ユースの世界ではいまだにウォーターフォール型で、人月商売の開発が行われいます。まあ、それでユーザー側もベンダー側もそれでビジネスが成り立っている以上、それはそれでいいのかもしれませんが、なんか引っかかります。

どーすんのよ、俺。
  

Jeff Bezos が語る Amazon は何を考え続けているのか?

by tanabe on October 19, 2007

Harvard Business Review October 2007 に Amazon の創業者 Jeff Bezos のインタビュー (The Institutional YES) が載っている。Amazon の文化、戦略の生まれる背景を解き明かそうとした良インタビューだった。

かつて梅田望夫さんは「コンピュータ産業のパラダイムシフトを象徴するアマゾンの戦略」という良エントリで「アマゾンがテクノロジー企業に変貌しようとしている」と指摘していたが、このインタビューを読むとそのテクノロジーの取り込みも手段の一つでしかなく、Amazon はあくまで「Amazon の顧客は誰か?その人たちは何を求めているか?」をひたすら考え、忠実に実装していく企業であることが読み取れる。これはいわゆる「ネット企業」「テクノロジー企業」に特異な視点だろうか?むしろ、古典的といってよい王道の視点だろう。

そして、そこで語られる基本哲学は変化が激しいと言われる Web を舞台にビジネスをするからこそ、特に気をつけるべき視点が大いに含まれている。

まずは、Amzon では、ビジネスを長期的な視点で見ており、短期的な考えに捉われることを避けている。それはたとえば種を植えて木へと生長するのを待つようなことである。という文脈での質問から。

Do you know when you're planting of those seeds that it's, say, an acorn and it's going to turn into an oak? Do you have a stron vision of how things will materialie? Or does the shape emerge along the way?

We may not know that it's going to turn into an oak, but at least we know that it can turn out to be that bin. I think you need to make sure with the things you choose that you are able to say, "If we can get into this to work, it will be big." An important question to ask is, "Is it big enough to be meaningful to the company as a whole if we're very successful?"

Amazon で重視されるのは、うまく行くかどうかという姿勢ではない。それが本当にうまくいったとしたら、ビジネスになるのかどうか? Amazon に対して与えるインパクトは十分に大きいものなのか?その質問が重視される。

Amazon が手がけるビジネスを見た外部の人は最初の頃、「なぜそんな新しいことをするのか?」という感想を抱く。なるほど。それは正当な疑問だろう。それに対して Bezos はこのように語る。

But they all have at their heart one of the reasons that it's so difficult for incumbent companies to pursue new initiatives. It's because even if they are wild successes, they have no meaningful impact on the company's economics for years. What I have found - and this is an empirical observation; I see no reason why it should be the case, but it tends to be - is that when we plant a seed, it tends to take five to seven years before it has a meaningful impact on the economics of the company.

そのようなことを言う人たちは、新しい挑戦を恐れるから会社を助けるような大きな成功ができないのだ。Bezos はこれまでの経験から断言する。「なぜかはよくわからない。でも、これだけは言える。企業にとって有意義な結果が出るまでにはたいてい着手してから5〜7年は必要だ。」

That does require people, inside and outside, to keep the faith. How do you have the confidence that the investment will ultimately pay off?

It helps to base your strategy on things that won't change. When I'm talking with people outside the company, there's a question that comes up very commonly: "What's going to change in the next five to ten years?" But I very rarely get asked "What's not goning to change in the next five to ten years?" At Amazon we're always trying to figure that out, because you can really spin up flywheels around those things.

ただ、そのような長期的な視点での挑戦を続けるのは内外が信念を持ってあたる必要がある。Amazon では変化するものではなく、変化しないものを対象に戦略を立てることで短期的な心配に振り回されないようにしている。問い続けるべきは、「この5〜10年で何が変わるのか?」ではなく、「この5〜10年で変化しないものがあるとしたら、それは何か?」なのだ。

では Amazon はいったい何が変化しないと考えているのか?それが続いての質問だ。

What are some of the things you're counting on not to change?

For our business, most of them turn out to be customer insights. Look at what's important to the customers in our cunsumer-facing business. They want selection, low prices, and fast delivery. This can be different from business to business: There are companies serving other customers who wouldn't put price, for example, in that set. But having found out what those things are for our customers, I can't imagine that ten years from now they are going to say, "I love Amazon, but if only they could deliver my products a little more slowly."

Amazon はコンシューマビジネスであり、つまるところ「顧客についての深い理解」こそがコアとなる。「顧客が何を重視するか?」に焦点をあてればいい。10年後の顧客もけして「Amazon は嫌いじゃないんだけど、もう少し配達が遅ければいいのに。」なんて言いだすことはない。

Another thing that we believe is pretty fundamental is that the world is getting increasingly transparent - that information perfection is on the rise. If you believe that, it becomes strategically smart to align yourself with the customer. You think about marketing differently. If in the old world you devoted 30% of your attention to building a great service and 70% of your attention to shouting about it, in the new world that inverts.

そして、もう一つ変化しないものがある。「世界は見通しやすくなっていく」という傾向だ。これからも情報はより手に入れやすくなっていく。そこから考えると、そこそこのサービスを作ってそのすばらしさを喧伝することに力をそそぐよりも、本当にすばらしいサービスを作りこみ、それを少しだけ宣伝してやるほうがいい。あとは顧客がそれを理解し広めてくれる。

A lot of our strategy comes from having very deep points of view about things like this, believing that they are going to be stable over time, and making sure our activities line up with them. Of course there could also come a day when one of those things turns out to be wrong. So it's important to have some kind of mechaninsm to figure out if you're wrong about a deeply held precept.

Amazon の戦略はすべてこのような基礎的で深い洞察から始まり、それが長期的に続くと信じ、プランを立て実行する。ここで重要なのは、最初の視点が誤っていた場合には途中で気が付けるような仕組みを作っておくことだ。

本文はここからさらに API 提供をしている理由や、なぜマーケットプレイスや代理店としての販売を手がけるのか、顧客中心主義という Amazon の文化についてのさらに詳しい質問へと展開される。

部分部分でおもしろかった発言をピックアップしてみる。

But I thought to myself, we don't make money when we sell things; we make money when we help customers make purchase desicions.

これは今後の Amazon のビジネス領域を見極めるうえで極めて重要な視点だろう。この時点で販売を「物を売ること」とは捉えていないことがわかる。「(たとえば Web というインターフェイスを使って)顧客が『これを買おう』と思う手伝いをすること」をビジネスの目的としているのだ。この文脈だとネット直販をしている小売が商売敵ではないことも納得がいく。むしろ雑誌通販などをしているところや店舗を持っていて品物を体験できるところのほうがベンチマークの対象となるのだろう。

What would you say has been the nature of your biggest strategic mistakes?

I think most big errors are errors of omission rather than errors of commission.

「一番大きな戦略上の過ちは?」という質問に対して「やってしまったことじゃなくて、やらなかったことこそが一番大きな過ちになると思う。」という答え。挑戦すべきだという考えは徹底している。日本語で言うなら「やらずに後悔するよりやってから後悔するほうがいい」といったところだろうか。

「そのような文化を維持するために何をやってるの?」という質問については、

you will always get asked the question, "Why? Why do that?" But "Why not?" is an equally valid question.

やらない理由(やるべきでない理由)がないならやっちゃえば?という考えを浸透させるためには、「なんでやっちゃダメなの?」と聞くのは有効だそうだ。

きりがないのでここまでにしておこう。ここで取り上げたのは象徴的な発言ばかりだが、実際にインタビューではそれぞれについてのもっと具体的な話も語られている。わずか 7 ページ程度のインタビューなので、読む機会のある方はぜひ目を通してみることをお勧めする。

ついでに、Jeff Bezos についての過去のインタビューなどの一部は下記へ集めている。ご参考までに。
http://del.icio.us/zep716/bezos

  

Jeff Bezos のインタビューがすばらしい件

by tanabe on October 17, 2007

DIAMOND じゃない原書の方の Harvard Business Review 2007.10月号にJeff Bezos のインタビューが載っている。これがもうすばらしい内容すぎる。

Amazon の Jeff Bezos だからといって、インターネットの行く末は?というような内容中心ではない。HBR だからというわけでもないだろうが、地に足のついた真摯な受け答えでありながら、かつ内容は示唆に富むというもの。Web をインターフェイスに販売をしているというビジネスの視点で非常に中身のあるインタビューになっている。

Amazon.co.jp でも見つからず、一冊単位で買うことはむずかしそうなので、面白かったところを訳してエントリしてみる予定。

追記。書いた。http://blog.hacklife.net/archives/51224167.html

  

人材教育界の猛犬、HBRで吠える。

by tanabe on April 12, 2007

HBR May 2007に場違いなすてき記事が載っていた。主役の名は Larry Winget. 人呼んで「人材教育界の猛犬」

この時点ですでに少しおかしい。誌面ではさらに写真が載っている。これがまたおかしい。

こんなかんじ。けして週刊プロレスとかを読んでたわけじゃない。

では四の五の言わずに語録を。

  • 「社員が最低なのは、お前ら経営者や管理職が最低だからだ」。そう言い放った瞬間、聞き手にとって現実的(リアル)な問題になるのです。
  • 「お前らをいい気分にさせて、きっとよくなるから頑張りましょうなんて言うのは、もううんざりだ。よくなろうという気のある奴は、放っておいてもよくなる。その気がない奴は他人の邪魔をしないで、引っ込んでろ」
  • 「業績が悪いのは、だれのせいでもない。お前ら自身の責任だ。お前らがそのような結果を招いたんだ。客が悪い、ウォルマートが悪い、景気が悪い、共和党が悪い、民主党が悪い。いくらでも他人のせいにすればいい。いいか、これだけは言っておく。同じ業界のなかに成功している企業があるならば、そいつらにできることがお前らにできないわけがない」。

歯切れのよい言葉を読んでいても気持ちがいいが、実は単なるパフォーマーに終わらず良いことを言っているのが本文を読むとよくわかる。

現状がぬるま湯ではなく、危機的状態だということを認識させること。そしてそこから抜け出すための覚悟を決めさせること。という辺りの話は三枝匡さんの「V字回復の経営」を思い出した。

「ソースコードが最低なのは、だれのせいでもない。お前ら自身の責任だ。お前らがそのような結果を招いたんだ。Dave Thomas や Kent Beck にできてお前らにできないわけがない。」とか吠えてほしい。

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「メールを処理する時間」を一日のスケジュールの中に決める

by tanabe on April 10, 2007

最悪の習慣は、朝一番に電子メールを読むことである。種々雑多なことで頭が乱されてしまう。朝は重要なことに集中し、昼までに一仕事終えるべきだ。
http://d.hatena.ne.jp/himazublog/20070408/1175994799

これに大いに同意。

ぼくも昨年の暮れくらいからメールの扱いを変えた。一日に決めた時間にだけメーラーを開いて読んで返信している。これでメールを読んでいない時間の作業効率(というより、密度)が大きく上がった。

朝からメーラーを開いていると、どうしても仕事の仕方がメールドリブンになる。これは降ってきた仕事を片付けるという形で、仕事の順が到着順になりやすく(順にやらないと返信ができないから)優先順位によるコントロールは効きにくい。一日の終わりに「なんだか一日中忙しく仕事をしていたけど、よく考えると何もしていない」ということが何度かあり、ぼくは仕事のやり方を変えることにした。

メールを貯めて処理する方式は、一度すべてのタスクを見ることができる点がよい。メールとして降ってきた仕事をすべて同じレベルから比べて、実際にどれから手をつけるかは別途その後の仕事の優先順位を整理してから決めればいい。

このやり方に変えてからすぐに気付いたことは、メールの返信の半分以上は必ずしも自分が頭を使って気にする必要のないものだということ。プロセスでもオブジェクトの生成でもいいが、何事も0から動き始めるまでが特にパワーを必要とする。一日に50通メールを受け取るとしたら、多少なりとも自分に関わるメールとしてそれらを随時処理していく労力というのは馬鹿にならない。ましてそれが何の価値も生み出さないならなおさらだろう。

ということで、「メールを処理する時間」を一日のスケジュールの中に取るのはおすすめ。もちろん、それ以外の時間はメーラーを閉じること。

今のところ、これで「本当に困った」と言われたことはない。いずれにせよ急ぎのときは電話が鳴るのだし。

  

なぜ自分を磨くのか

by tanabe on March 20, 2007

Number の 674 号、三浦知良のインタビューから。

ーでも、一方で、サッカー選手の中には20代で早々に崩れていく人も少なくない。 「結局何かを疎かにしてるんだよね。それはやっぱりサッカーだと思う。若いときは深酒して寝不足になっても大丈夫だと思う。でもそこで練習を疎かにして辞めなきゃいけなくなった人は多いと思うんだよね。それは自分に問いかけてほしい。ほんとに自分が大切にしなきゃいけないのはサッカーのグラウンドだったと思う。
 遊んでマイナスになることもあるよ。でも、ほんとにハートが強ければグラウンドで取り戻せるものだと思う。若いときだったら。それを怠けたから辞めなきゃいけなくなったんだと思う。怪我とかいろんな要素があって辞めなきゃいけなくなった人もたくさんいるけど、怠けて辞めた人も、半分はいると思う。もっと練習やっとけばよかったって言ってる人はたくさんいる。遊んでも何してもいいと思う。ただ、その倍くらい練習すればよかったと思うし。」

やっぱりフィールドで輝いてこそだし、そのための積み重ねだよな。と。

  

webの限界 / webの可能性

by tanabe on February 01, 2007

タイトルは、あえて原題をそのままコピー。

今回、我々は「ネットを主要な販売チャネルとした新しい生命保険会社」を作ろうとしているのであり、ネット上がいわば店舗になる。ここが、お客様との重要な接点。その店舗の作り方がコモディティであり、本質的に差別化するのは難しいと言い切られてしまうと、がっかりせざるを得ない。
http://totodaisuke.weblogs.jp/blog/2007/01/web_web_9de1.html

求めている答えははっとするような洞察を含んだ深い答えか、もしくは思いもよらないようなバカげた発想だろうと勝手に張り込んでバカ担当の方、それも最上級に妄想度の高いやつで応えてみる。

ぶちあげるのは、保険金は保険料収入からは払いませんよ説

保険のルールをとことんシンプルにしてみれば、「保険料を集めて、そこから保険金を払います」てことだ。現行のルールでは、元手がお金で出て行くのもお金なので、現在の常識の範囲でしかスケールしない。もちろん、「リスクをとった運用をすれば」とかいくらでも反論は考えつくが、ここはバカサイドの意見なのであえて黙殺。

重要なのは、今一番スケールするものは何?それが元手なら、もっと簡単に保険金くらい払えんじゃないの?というところ。

お金よりも効率よくスケールさせられるものなら、どう少なく見積もっても、既存の生保に勝てる仕組みだ。

んじゃ、いったい何を元手にするんだ?という疑問が当然湧くが、ここで Web が出てくる。

essa さんのこのエントリや、そこからリンクが張られている isologue の記事なんかをぜひ読んでみてほしい。なんとまぁ、パワフルで可能性のあふれた Web のスケール。

Skype に関する

「道に落ちてる直径30cmのケーキに出くわしたアリさんモデル」ですね。 「100% 広告無し」を宣言してしまってるので、おっしゃるように既存電話への出口で、市内料金程度のわずかなお金をいただく、というところで稼ぐしかないわけですが、とにかく現状の電話マーケットがでかい(記事には100兆円とありますが…)ので、その通話の1万分の1を獲得するだけでも十分食ってけそうです。

という話なんかは保険業界というマーケットの大きさを考えるとそれはもう思わず目が耀くほどの可能性を感じてしまうはず。(ニッセイの平成17年度総資産は約50兆円!)

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以下、ちょっと時間がないのでポイントとアイデアだけをがーっとメモ。

  • 競争優位の源泉を「ネットの会社」に求めてしまうと厳しそうなのは、保険と Web の間にあるスピードのギャップ
    • 保険=とっても長期の事業
    • Web=1年前は大昔
    • 常に変わり続け、インテルも真っ青なくらいのパラノイアで居続けなければならない
  • 今の保険業を特徴付けるのは、プリペイドと少ない顧客とのインタラクション
    • 保険料を払ってから保険金を受け取るまでって何年?何十年?
    • 顧客が契約後に生保とコンタクトを取るのってどんなとき?顧客接点で価値を生む機会が少ないんじゃ?
  • インタラクションが少ない= Users Add Value という一番スケールする部分が制限される
    • Tim O'Reilly の言葉を借りれば、Users Add Value と Network Effects by Default, Data is the Next "Intel Inside" が鍵
    • ただ、制約は制約として割り切ったところに意外な答えがあったりするもんなので、最初から捨て切るもんでもない
未来への切り口としては
  • サービスを提供してまずスケールを確保する
  • そこで得られる Participation, Data は何?そこから生まれる Value は何?
  • それはどうすれば保険金の原資へと転換できる?
  • そのサイクルを継続して回していくには?
てところだろう。

たとえば、

  • オンライン家計簿。
  • オンライン家計簿を提供する。
  • 家計簿の入力データは正々堂々二次利用して、新しい価値を生み出す。
  • 生み出した価値は、保険金の原資として顧客に還元される。
これなら、
  • 顧客とのインタラクションが定期的に確保できる
  • Data が生まれる
  • Data があれば、Value を生める
  • こと次第によっては、プリペイド方式を止めることだってできるかも

期待するのは、終身保険をがんがん売ってニッセイをおびやかすような企業ではなくて、ガンになったら突然やってきて一千万ボンと置いて去って行く、ブラックジャックによろしくも裸足で逃げ出すような非常識なインパクト。

一粒10万のダイヤよりも一粒10万のチョコレートのようなインパクトがあるとぐっと存在感が出て面白くなると思う。(口で言うのは簡単だなぁ。)

  

所信表明

by tanabe on December 11, 2006

ブログの、ではなくて仕事の方での表明。

思いつきでも、早とちりでも、楽観主義でも、とにかくやった方が良いと感じたアイデアはアウトプットするようにしよう。

すべてのきっかけはアウトプットと偶然だけが生むのだし、疎まれるのはほとんどの場合アウトプットの行為そのものではなくて、そのやり方(タイミングとかアクションプランの有無とかね)なのだから。

  

Aクラスを手なずけると言えば。

by tanabe on December 11, 2006

はてブで小盛り上がりしていたあの話は、otsune さんのこのエントリがおもしろかった。

思うに、「この仕事はその人じゃなければ出来ないんだ」という属人性の高い仕事に、高いサラリーを支払う仕組みってのは会社経営的には脆弱なんじゃないか?

たしかにリスク管理としてはそうなんだろうと思う一方で、「その人じゃなきゃできない」ような仕事なくしてどうやって他社と差別化するんだよ!というツッコミのできる大企業病のような気もする。誰にでもできることばかりじゃ、戦略的な勝利はあり得ないだろうっていう。

そして、自分へのツッコミとしては、誰にでもできることを誰にもできないレベルにまで組織として磨くと、トヨタとかマクドナルドみたいに勝てる企業になるんじゃない?っていうものもある。

最後に、話の根っこの記事は興味なしってことで。

  

人より優れた虫けらとして生きる

by tanabe on December 11, 2006

あー、うん。とむっつり型ナルシストの自分がうなずいた気がしたので、メモしておこう。

「自分は人より優れていると感じて一生を過ごす人もいれば、虫けらのようだと感じて生涯を送る人もいる。そしてナルシストは、自分は人よりも優れた虫けらのようだと感じながら人生を送る。」のである。

Harvard Business Review January 2007 の記事「困ったAクラス社員を手なずける法」より。

ちなみに本題の方の感想なのだけど、最近のプログラマー界隈を見ると、意外に唯我独尊型の天才は少なくて、ギークとして名を馳せている人は、コラボレートの能力が高い気がする。(つまり、Aクラスは”困った”タイプなことが少ない気がしている)

これはオープンソース以降の文化的な影響だと思うのだけど、どうなんだろう?コラボレートできる人はより情報が集まって高度な段階に進めるけれど、そうでない人は集められる情報に限界があって結果として相対的に低いレベルで壁ができてしまう(あるいは留まらないまでも成長の速度が遅くなる)からなのではないかと予想しているのだが。

それともこれは未熟な過渡期ならではなのかなぁ。

伊藤直也さんの宮川さんに関する記事を読んで以来、ずっと自分の中で興味深いテーマになっているので、今さらの話題ではあるのですが、エントリしてみました。(うーん、虫けらからずいぶんと関係ない方向に話が飛んだな。)

  

報告するとは。

by tanabe on November 10, 2006

意識していないとついやりがちなので、自戒のために。

◯報告するとはなにか

  • 聞き手が知るべきことを伝えること。
  • 聞き手は何を知り、何をすべきかというメッセージを込めて話をすること。
  • 聞き手の知らないことをその人がわかるような言葉と情報量で伝えること。

○報告するとは何ではないか

  • 自分の伝えたいことを伝えること。(エピソード、いかに苦労しているか)
  • まとまりのある意味を持ったメッセージではなく、情報の断片を伝えること。
  • 自分が知っていることを自分のわかる言葉で伝えること。


自分が言いたいこと、言うべきだと自分が感じていることの八割は要らない内容だ。(たぶん)

それを受け取った場合に聞き手は何を得て、何が可能になるのか自問すること。聞き手に何も変化を起こせないなら、それは単なる自己顕示欲の現れであることを自覚すること。

実践するためには端書きで良いので、一度箇条書きにして取捨選択してから話をするのがいい。そのときに情報を構造化できれば、さらにいい。

  

技術者のための提案書のお手本を読む

by tanabe on November 06, 2006

Ringo's Weblog さんで紹介されていた Tim Berners Lee の提案書が面白い。一読されることをオススメします。素晴らしい文書をご紹介・翻訳して下さっている ringo さんに感謝。

1990年にTim Berners Leeが提出した、最初のWebブラウザ開発の提案文書は、優れたプロジェクト・マネジメントの手本となる文書である。

と書かれているとおり、何かが目を見張るほど卓越した提案書というわけではないが、非常にバランスが取れ、よく練られた内容の提案書になっている。(特殊な技法が使われていてスペシャルな存在になっているとかいう類ではなくて、ベーシックなスキルの積み重ねで全体として高品質な提案書になっている。)

個人的に好きな点は、

  • 見通し:やりたいこと、やりたくないこと
  • やらないこと
の項。

この言い回しは、技術文書だとわりと見かけるのだけど、他の界隈ではあまり見ない気がする。たとえば、スコット・アンブラーの「アジャイルモデリング」でも、『アジャイルモデリングとは何であり、何でないか』という項があり、わかりやすかった。ぜひ取り入れたい書き方だ。

# 「見通し」の部分は原文の scope のニュアンスが絶妙で、相手がプログラマであれば、そのままスコープと呼んでしまいたい気がする。「対象(範囲)」だと重たいんだよなぁ。「照準」だといくぶん良いけど、やっぱりスコープの方が良いよなぁ。

  

思考のフレームワーク(フレームワーク脳の話にあらず)

by tanabe on August 22, 2006

フレームワーク(Rails とかのじゃなくて、思考の方の)は、物事をパターンにはめるために使うんじゃなくて、自分の中で MECE に整理するために使うんだな。

世に出回るフレームワークは 3C とかの既製品ばかりだから、根本的に誤解していた。

そう考えると、つまらない問題をお手製フレームワークで思考するってのもありなわけだ。

何事も目的を理解して使うのは大事だなぁ。

つまり、「企業の戦略を考えるときは、 3C のフレームワークを使おう」というデザインパターンとして使うんじゃなくて、「今日の昼食は何を食べようか」という問題があったら漠然と考えるよりも、「予算・体調・天気」の3要素をフレームワークとして使ってみようかな、というように柔軟に有効に使うべきだということ。

問題解決の実学
問題解決の実学
posted with amazlet on 06.08.22
斎藤 顕一
ダイヤモンド社 (2006/08/04)
  

タイムマネジメントをするということ

by tanabe on August 08, 2006

基本は、ドラッカーの「経営者の条件」の第二章に集約される。

  • 時間の使われ方を実際に記録し、
  • やるべき仕事以外のもの(やらなくてよい仕事ではない)に手を付けるのを止め、
  • 残った時間をまとめ、大切なことに集中する時間を作る

これは話としてはわかっていた。優先順位ではなく、劣後順位を付ける。

でも、この話がわかっても、実践できていたかというとできていなかった。

それが、次のことを意識するようにしたことで劇的に改善した。

それは、仕事には、

  • 定量的な仕事(一定の時間やれば確実に終わり、かかる時間も読みやすい仕事)
  • 定量的でない仕事(一定のところまでやれば終り、というのがはっきりしない仕事)
と、
  • やりたい仕事・好きな仕事
  • やりたくない・気の進まない仕事
があるということ。

そして、その中で、

  • やるべき仕事
  • それ以外の仕事
があるということ。

これらの優先順位はこのようになる。

  1. やるべきで、定量的な仕事
  2. やるべきで、定量的でない仕事
  3. それ以外
当然、「それ以外」はやらない。

ちなみに、これを意識しないと自然と陥りがちな作業順序はこうなる。

  1. やりたい仕事で、定量的でない仕事(甘い蜜)
  2. やりたい仕事で、定量的な仕事(いつでもできそうだから後回し)
  3. やりたくない仕事で、定量的でない仕事(だらだら仕事)
  4. やりたくない仕事で、定量的な仕事(面倒なので先延ばし)

「やりたい仕事で、定量的でない仕事」は無駄な作業時間を永遠に長引かせることができる魔法のツールだ。仕事をやってるふりをしながら、成果を出さずに忙しさを演出できる。

正直、ぼく自身もこれが大好きだ。(なんせ「やりたい仕事」なんだし。) Ruby でツールを無駄に凝りながらプログラミングしたり、そこに関心のあるライブラリを使ってみたり、しかも自分用のツールでエンドがない仕事だから時間は使い放題。その上で仕事上のツールだから、あくまで仕事の内。後ろめたい気分になるようなこともない。

しかし、これは冷静に時間に対するアウトプットを考えてみると、成果が少ない。(自己満足は高いので客観視する指標を作らないと、言い訳し放題。)

まとめとして、この一言を。

「最初に申したではないか。まず時間を決めよと」
「はあ」
「なにを何時間、何分間やるのか、決めること。そして時間が来たらやめる。そうしなければ、ほかのことができなくなるではないか」
「はあ」
明るい国の王様は、とまどうクラゾーに「まず、それを決めなければならぬのじゃ」と釘を指しました。
「王様の速読術」より

「まず時間を決めよ」「そうしなければ、ほかのことができなくなるではないか」

この言葉は RSS フィードに埋もれて身動き取れなくなったり、mixi にはまって廃人になったりする時代に、主体的に時間を使うとはどういうことかを端的に語ってくれている。

ちなみに、この「まず時間を決める」こそが、「やるべきで定量的でない仕事」に全体のバランスを見つつ集中するための秘訣だと思う。

王様の速読術
王様の速読術
posted with amazlet on 06.08.08
斉藤 英治
ダイヤモンド社 (2006/05/12)
  

頼まれたこと − やるべきこと = 断ること

by tanabe on July 29, 2006

タイトルがすべてなんだけど、To Do はただ把握すればいいってわけではなくて、To Do を管理するってことは、

  1. まだやってないことをすべて並べてみる
  2. 必ずやらないといけないこと。やる価値のあることを選ぶ
  3. 1 から 2 を引いて、残りをすべて断る

ちなみに黙殺できるようなものは最初から引き受けない。

1 をやったら To Do 管理だという誤解があるけど、それだと時間の管理にならないってこと。

わかっちゃいるので、あとはやるだけなのだ。

だから片づかない。なのに時間がない。「だらしない自分」を変える7つのステップ
マリリン・ポール 堀 千恵子
ダイヤモンド社 (2004/06/11)
売り上げランキング: 30,299
  

岡本吏郎さんの「会社の数字がカラダでわかる!」

by tanabe on July 28, 2006

岡本吏郎さんの「会社の数字がカラダでわかる! 〜会計するカラダのススメ〜」を読みました。

基本的には会計の本なのですが、それ以上に会計の話を通して、マネジメントということについての思想を伝えようとする。そんな本です。

管理するのでも、コントロールするというのとも少し違います。何もかもを自分が手を出すことはできない中で、正しい方向へ行っているのか否かというのを、どのように判断するのか。そのための知恵が詰まっています。

これはまさに知恵の本です。とにかく実際に必要なことは何か。会計ということが現実的に役に立つためには、一体何をする必要があって、何はする必要がないのか、それはなぜか。そんな「知恵」が書かれています。

一方で、会計についての「知識」はとても手薄です。必要ないから薄いのでしょう。試験に答えるための会計を知りたいからとか、知らないと恥ずかしいから、というような動機でこの本を読むのはオススメしません。(いや、ある意味、そういう人こそ本書を読んで考えた方がいいんですけどね。)

まー、それにしても、この岡本吏郎さんの書く内容を読むと、なぜかいつも羽生章洋さんの文が頭に浮かんで仕方ない。地に足の着いた主張。あくまで基礎を徹底した結果の他とは一味違う知見。どうにも受ける印象というか、色合いが似ているのです。

たとえば「DB の仕組みを正しく理解して適切な SQL を書かないから、パフォーマンスも出ないんだよ!」みたいな話と、「経理はまずは徹底した実査なんだよ。会社にとっての入出金の現実の姿が見えずに会計がわからんとか言ってちゃダメなんだよ!」みたいなのは、ジャンルが違うだけで姿勢は同じ。しかも会計をカラダで理解しろ!って。いつ「量は質に〜」て出てくるかとひやひやしながら読みました。

じゃ、最後に一節を引用。

粗利額と人件費の二つの管理。これが経営の基本だ。とどのつまり、経営の管理はこれだけ。これ以上でも、これ以下でもない。
経営とは、この二つの数字とそのバランスを見ていればよい。当然だが、粗利額は1円でも多く稼ぎ、人件費は抑える。
ただし、人件費の管理は絶対額ではない。割合で管理する。図の限界利益を分母として、人件費を分子とした割合で見る。これを労働分配率という。
この労働分配率を低くする。妥協せずに低くする。そういう経営ならば儲かる。これだけだ。これは決して人件費の絶対額を低くすることではない。給料は同業他社よりも支給する。しかし、労働分配率は低いというのが理想。そのためには分母の限界利益を多くすればよい。つまり、一人当たりの限界利益を多くすればよいことになる。

そして、そうこう思いながら、Bloglines でフィードを読んでたら、こんな話が。
夏のはぶにっき コストのはなし
うーん、おもしろい。

  

エンジニアの欠点

by tanabe on May 12, 2006

エンジニアな人は選択肢を出すときに二つとも正しい選択肢を出すからいけないのだと、社会人を4年もやってようやく気付いたよ。

たいていバッファは見込んで、リスクを避けようとはするけど基本的にベクトルが間違った選択肢を出す図太さはエンジニアの知合いにはない気がする。

で、勝負に勝ちたいなら、二つ選択肢を出すなら、どちらも間違った答えを出して、仕方なしに正しい答えをしぶしぶ飲むふりをするのが正解だと今日ようやく気付いたよ。

  

「プロとして恥ずかしくない」に込められた本当のプロの技

by tanabe on February 21, 2006

とても今さらですが、「プロとして恥ずかしくない」 シリーズがえらく売れているようですね。

GoodPic.Comさんでもこの本の良さを書かれていたりしています。

フォトショップ 写真補正&加工の大原則
http://www.goodpic.com/mt/archives2/2006/02/post_144.html

フォトショップ : カラーバランスで色かぶり補正
http://www.goodpic.com/mt/archives2/2006/02/post_145.html

で、誰か指摘済みだろうと検索したもののGoogle先生によると目立って指摘している人がいないようなので、エントリしておいてみます。

「プロとして恥ずかしくない」シリーズは売れるべくして売れていると思っています。その理由がこの二つ。

  • ライトユーザーターゲティング
  • 強力なダブルバインドによるタイトル

ライトユーザーターゲティング

ライトユーザーターゲティングは理解されている方が多いと思います。「プロとして恥ずかしくない」と言いながらムックで出しているところからもわかりますが、このシリーズのターゲットはその道でお金を稼ぐプロの人ではなくて、プロのようになりたいアマチュアです。

ブログが広まったこともあり、自分のためにデザインをしたいけれど、もう一つ思ったとおりにうまく行かない、という人は多いのではないでしょうか。

そういう人にターゲットを絞って、欲しい情報をWeb(というかはてブ)でも人気の「まとめ」形式で提供するというのはとても合理的です。

それが技評とかではなくて、MdNが出しているというのもポイントが高いでしょう。

ダブルバインド

でもこの程度のことはどこの出版社も考えてます。その証拠にコレ系の雑誌や書籍は毎月のように出版され、淘汰されています。

では、なぜこの「プロとして恥ずかしくない」シリーズはこれだけ実績を残しているのでしょうか?

その答えが、もう一つのポイントであるダブルバインドにあります。

ここで、ダブルバインドの効果を生んでいるのは、「プロとして恥ずかしくない」というタイトルです。

「プロとして恥ずかしくない」という記述には、ある前提が隠されています。それは、この本は「プロ向けのものだよ」という情報です。

なんせ「プロとして恥ずかしくない」ことを説明する本なのですから、アマチュア向けなはずがありません。

そして、この前提となる情報は表立って主張されているわけではないので、するりと真実として意識の中に入ってきます。

1+1=!?

そして、ここで生きてくるのが先ほどのライトユーザーターゲティングです。

ライトユーザーはプロに憧れています。ここでいう「プロ」はお金を取れることや、プロフェッショナルとは?とかいうときの「プロ」ではなくて、未熟な自分と比較してホンモノの人々のことです。そのホンモノな人のイメージをプロという言葉に託してます。

だから、ライトユーザーが欲しい本というのは、自分もプロのようになれる本なのです。

ライトユーザーには「プロのようになれる本」が欲しいというニーズがあります。「プロとして恥ずかしくない」というタイトルは、「この本はプロ向けだよ」というメッセージがあります。そのメッセージはダブルバインドのテクニックで上手に隠されています。

『「プロ向けの本」であれば、自分もプロのようになれる本格的な内容が書かれているに違いない!』こう思うのは不自然なことでしょうか?そして、この結論は人から押し付けられたのではなく、自分の中で出したものなのです。

これがこのシリーズが売れている理由の一番強力なものだと思います。

実はシリーズを何冊か購入してしまっているのですが、たしかにまとめとしての丁寧さにMdNの意気込みは感じますが、内容的にこれまでのMdNのムックと比べて決定的に違うというほどではないように感じます。(従来も私のようなシロウトには十分にありがたいレベルの内容だったという意味です)

「ターゲットを絞って、これはあなたのニーズにあった品物だよというメッセージを届ける」というやり方はとてもシンプルですが、本質的で強力だなと感心しました。

最後に今回は説明を省いているので、ダブルバインドの強力さを知りたい方は石井裕之さんの「コミュニケーションの催眠誘導」をオススメします。類著や同著者の他書籍よりもずっと本質的な部分を解説してあります。

昨年ですが、idea * ideaでもダブルバインドが強力だと紹介されていました。こちらは石井さんの別著作ですね。人の誤解を生まないタイトルなのでこちらの方が買いやすいかも。

  

Officeを駆逐する「ドキュメントなんて飾りです。偉い人にはそれが分からんのですよ」戦略

by tanabe on December 18, 2005

Life is beautifulさんの次世代Officeの話へ脊髄トラバしてみる。

ブルーオーシャン的なアプローチとしては、「ドキュメントなんて飾りです。偉い人にはそれが分からんのですよ」戦略とかおもしろいかも。

そもそもオフィスでドキュメントを扱おうというのは紙を使って仕事をしていた時代の名残でしかなくて、実は個別のドキュメントって本質的には必要じゃない。

オンデマンドで元となるデータから好き勝手な形式で作り出せた方が、同じようなドキュメントの元データをあちこちでメンテナンスする手間が省けていいんじゃない?コストもぐーんと下がりますよ。ってベネフィットを売り込んでみる。

まず、『けっきょく会社で使うドキュメント(紙、電子ファイルに関わらず)って企業の中で扱われている何らかのデータのビューでしかない』という主張をドーンと打ち出す。

そして、すべての生データはモデルとして扱われ、都度表現する現在のドキュメントは随時ビューとして好き勝手な形で、それこそファイルフォーマットなんてお好きなように発行しまくりますよ?と新しいツールにだまされやすい層を狙ってみる。もちろんERPとかMVCとかアルファベット3文字で煙に巻きつつ。

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とここまで書いて、言っていることの9割はsalesforce.comがやれそうな気がした。よって、Office製品の一番のライバルはsalesforce.comだという結論で。

※ ちょっとまじめに追記すると、ドキュメントって時間軸の中のある時点を切り出して誰かに対してその時の説明なり状況を担保する役割で使われるケースが多いので、モデルの方で更新の履歴はすべて追える必要がある。過去のものもいつでも発行できますよ、って保証しないと皆必ずローカルへ丁寧に保存するな。

突っ込まれる前にさらに追記しとく。

このぼくのエントリ、ブルーオーシャン戦略の本来の定義からは外れていると思います。単なる同一業種、新しい価値軸での挑戦ですね。

そもそも脊髄反射なのでブルーオーシャン戦略なアプローチを取って検証した話ではありません。未読の方の誤解を招きそうな、”悪意のマーケティング用語・ブルーオーシャンの誤用”です。そんなわけで”ブルーオーシャン的”としときました。

とても良い本なのですが、わかりやすい言葉だけが一人歩きしているので、未読の方はぜひ書籍で読まれることをお薦めします。正面衝突せずに新しい価値軸でサービスを考えるための実践的なフレームワークが書かれています。

ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する
W・チャン・キム レネ・モボルニュ 有賀 裕子
ランダムハウス講談社 (2005/06/21)
売り上げランキング: 55

  

目的にすべきもの、すべきでないもの

by tanabe on November 16, 2005

水かけても仕方ないので、トラックバックはしない。ただ、自分のWeb2.0とやらへの姿勢として書いておく。某所の2エントリを読んでの話。

Web2.0的であることが目的ではなく、「ビジネスとしての競争力がどの手段で最大化されるか」が一番のテーマであり、そのための手段にWeb2.0的なもので良い手段となれるものがあるか、という検討をすべきではないか。

たとえば、「ビジネスを円滑に進めるための、ボーダレスに情報を共有できる組織・仕組み作り」が目的あり、そのための手段としてブログやWikiが使えるんじゃない?ってアプローチになるはず。(じゃあ顧客にプレゼンするのにツールをプレゼンしても意味がない、というのは当然。)

はてなのようにイノベーションを起こし続けることが存在意義になってしまっているポジションの企業はともかく、実地のビジネスに使うのであればWeb2.0は相当に考え抜いて使わないとまさにBuzz化すると思う。

どうも要素技術に引っ張られすぎなのではないだろうか。(と、技術者でコード書いたりしているやつが言ってみる)

ちなみに

>はてなのようにイノベーションを起こし続けることが存在意義になってしまっているポジション

これ、否定的な意味ではない。現時点のポジションでは、今のはてなの姿勢は正しいと思う。大前研一氏がいうところのマルチプル経済が働くから。ただ、これが飛躍のきっかけであるが故に少なくとも「他人の起こしたイノベーションに遅れを取れない立場になってしまった」とも言えると思っている。(あくまでマルチプル経済を原動力とするならば、という仮定の話。イノベーション企業であろうとするならば、この限りではない。)


なんか、ブクマで言いっ放しは卑怯者のすること!みたいな意見もあるようなので否定的意見はブログに書いておく方向で。

  

「ひとつ上のアイディア」

by tanabe on November 16, 2005

今日、本屋で大量購入したものの、この本はあまりにキャッチーすぎて、しかもテーマが狙いすぎていて、絶対駄本だと思い通りすぎていました。

どうやら違ったようで。

さっそくAmazonで発注します。

ひとつ上のアイディア。
眞木 準
インプレス (2005/11/02)

  

マジカのセミナー行ってきました。

by tanabe on November 11, 2005

で、Web2.0どころか思い切り足下の、目の前の問題を解決するためのツール、マジカのセミナー行きました。

って話の前振りだったはずなのに、ムダに前振りが長くなりすぎた!

 

えー、まずはマジカすばらしい。他の優秀なツールと同じく、使い道を見誤らなければとてもすばらしいツールだと思う。

エンジニアリングの限界とかの言葉でごまかされがちな部分に切り込める武器になりそう。

心残り。

  • マジカの実績(規模、期間、人数)の辺りが時間切れ&自分自身のその後の都合で質問できなかったこと。25日の方で聞いてみよう。
  • いわゆる「本社型」の組織でのシステム開発でのマジカの使い方を突っ込んで聞いてみたかったけど、これも聞けず。ToBeありきで発注元本社(=AsIsは当然反映済みという前提)というスタイルとマジカとの相性、とか。

WEB+DB PRESS Vo.25の記事よりもかなり洗練されたなーという印象。

Web+DB press (Vol.25)
Web+DB press (Vol.25)
posted with amazlet on 05.11.11

技術評論社 (2005/02)
売り上げランキング: 28,979

てことで、一通り読んではいるのだけど、もう一度、二度、三度と読んでみよう。

はぶにっきの[マジカ]タグ

あと

はぶにっきの[Goya]タグ

どうでもいい話ですが、初めて羽生さんを拝見しましたが、SQL書き方ドリルのお写真よりも大分迫力ある方でしたよ。。とても「ZGIIが・・・」と書いている方と同一人物には見えませんでした。

  

目の前の仕事が日々の作業の連続にならないために

by tanabe on August 08, 2005

retreatと呼ぶのか。

Life is beautiful」さんより。

http://satoshi.blogs.com/life/2005/08/post_1.html

これはトップダウン型の戦略で進んでいるプロジェクトでは実はとてもとても大事なものになると思う。これがないと、一年、二年もののプロジェクトなんてあっという間に「日々の作業」に成り果てるよな。

会社で日々の仕事に追われていると、「自分が今している仕事は、プロジェクト全体の中でどんな役割を果たすのか」、「そもそもこのプロジェクトは会社にとってどんな意味を持つのか」などを考えたり話し合ったりする時間も機会をなかなか作ることができないので、あえて会社から離れた所でミーティング(英語では off-site meeting)をすることによって、その辺りの意識合わせをしっかりとしようという試みである。

 マイクロソフトでは、この手のミーティングを retreat (直訳は「退去」)と呼んでいたが、これはビジネスを戦争に例えるのが好きなビル・ゲイツが、最前線で戦う戦士たちを敵の弾の届かない所まで一旦退去させ、体を休ませながら次の戦略を練るイメージで使い始めた言葉だ。破竹の勢いで敵を打ち倒しておきながら、時々「退去」して戦列を立て直す、というあたりが、ビル・ゲイツを超一流の武将にしている由縁だな、つくづく関心したものである。

温泉に行くというような余暇的な意味合いを持たせるかはともかく、ちょっと気分を晴れやかにさせられる場所で

「自分が今している仕事は、プロジェクト全体の中でどんな役割を果たすのか」、「そもそもこのプロジェクトは会社にとってどんな意味を持つのか」

を整理するのって重要。

定量的に計測してみないと何とも言えないけれど、アウトプットの品質に大きく関わるんじゃないか。特に長いプロジェクトであればなおさら。

これを実際にプロジェクトの渦中でやるのであれば、単なる愚痴大会で「あー、なんだかんだ言っても結局やるしかないんだよねー」っていうありがちな結論に落ち着くのを防ぐのために、「すごい会議」的にちゃんと流れをマネジメントしてやる必要がありそうだな。

  

「すごい会議」の大橋禅太郎さんからコメント頂く!

by tanabe on July 11, 2005

ウソみたいなんですが、「すごい会議」の大橋禅太郎さんからコメントを頂いてしまいました。

「すごい会議」の本質を読み解く。
http://blog.livedoor.jp/zep716/archives/26180505.html

なんかカワイゲのないコメントを返してしまってますが、裏ではうれしくて何度もコメントを読み返してしまいました。

すごい会議−短期間で会社が劇的に変わる!

うちの場合、気合を入れて書いたエントリほどスルーされ、割とささっと書いたものが喜ばれたり、という傾向があるので、こういう形で思いを込めたエントリにリアクションがあるとうれしくなります。書いてよかったー。

※ ちなみに、比較的やる気とリアクションがリンクしたのがRolling with RoRの邦訳。ビックリするほど反比例して、どうしていいかわからなかったのが、アイデア出しの話