ということで、戦術的ピリオダイゼーション理論(以下、PTP)に夢中な今日この頃です。先に言っておくと今日の話は強力に電波なので気をつけるように。(PTP がではなく、ソフトウェア開発の類似性を云々しているこのエントリが。)
PTP というのは要約すると、「フッボールの本質は予測不可能性にある。だから様々なレベルでの状況判断(=戦術)を強化することでフッボールが上達する。」(フッボールという表記はネタ元の村松さんブログの表記に合わせた。まぁ、サッカーです。)というコンセプトだと理解した。ポイントは状況判断が予測不可能性を押さえ込んでねじ伏せる道具ではなく、柔軟に状況に応じて自分が変化し対処していくための道具と位置づけられているところ。
つまるところ、村松尚登さんのブログを読め。と。
で、これが(というか、村松さんがというべきか)いろいろ良いこと言ってる。
- 戦術の基本はチーム戦術
- 「個を育てる」というコンセプトはありません。あくまでも『トレーニングはチームプレーの改善のために存在する』というコンセプト
- フッボールの本質が“テクニック”ではなく“カオス”だとすると、フッボールにおける最重要課題はボールと友達になることはでなく“カオス”と友達になることなのではないでしょうか。
- “カオス”は混乱です。そして、混乱の中で闇雲に戦っていては敵を倒すことはできません。その混乱の中に存在する小さな法則(=定跡)をなるべく多く見つけ出し、混乱により良い形で適応できる術を身に付けることが、混乱の中での戦い方なのではないでしょうか。
- つまり、カオスと友達になるということは、「他人の指示の声さえもがカオスに影響を及ぼす可能性がある」ということをしっかりと認識し、他人の指示やアドバイスに耳を傾けつつも、自らの判断でその瞬間の状況に合わせてジャズピアノ的に即興演奏を続けて行くこと
- カオスと友達になるというのは、途絶えることなく続くカオスの変化に柔軟に適応することを可能にするために武士のようにニュートラルな姿勢と心をキープすること
- その証拠に、リフティングをしている子供の邪魔をしようとすると「邪魔をするな!」と怒られます。予期せぬ変化(=邪魔)を許容していない時点で、彼がしているリフティングは“カオス”ではないのだと思います。
言いたいことは伝わる人には伝わるだろうから、こんなもんでいいか。
あとは、この文章なんて「あれ、どっかで読んだな」とか思ってしまって、読み返してもやっぱり同じようなことを言っているとしか思えない。
だって、フッボールの原型は試合なのですから、明日の試合に直結するチーム戦術の方が1対1の間合いの取り方よりもよっぽど大切だと思うからです。
これも村松さんのブログで見つけた引用。元はここの文章らしい。
学校を代表とする教育の一般的な方法は、完全な部分を積み上げていけば、完全な全体ができ上がるというものです。極端な場合は完全な部分が出来ないうちは、次の部分を見せない、あるいは学習者が漠然とした全体も掴めないうちに、完全な部分の習得を求めるというようなこともあります。
しかし学びの自然な姿は、大まかな全体が大まかな部分の総体へ少しずつ割れていき、部分が総体的に深まっていくというものです。つまり「大まかな全体から細かな全体へ」ということです。決して「細かな部分から細かな全体へ」ではありません。
もはや何を言いたいか、解説はいらないはず。完成に至るまでの学習と理解のプロセスだという視点で見たときには、「あー、あのことか」と。
神々の開発はまた別なのかもしれないけど、普通の人が普通の人とチームを組んで働いて、結果を求めるというのは、結局そういうことなんじゃないかなぁとしか言えない。
「守備も攻撃もテクニックもフィジカルも切り離してはいけない。
via フットボールはフットボールをトレーニングすることによってのみ上達する
それぞれの要素を切り離してトレーニングしても各要素が上達するだけで
サッカーは上達しない。サッカーの上達はサッカーのトレーニングからしか
生まれない」
では“戦術的ピリオダイゼーション”では「個の成長」をおろそかにしているかというと決してそうではありません。“戦術的ピリオダイゼーション”では『フッボールチームが成長する過程でこそフッボール選手個人が伸びる。なぜならば、フッボールはチームスポーツであり戦術だからだ。このような特徴を持ったフッボールの世界で活躍できる優秀なフッボール選手は、チームが成長する過程でのみ成長する』と考えているのです。
via 戦術的ピリオダイゼーション哲学の概要
あまり一般化するのも危険なので、深入りはしないけど、いろいろヒントをもらった。
勢い余って本も買ったけど、値段分以上に得たものは大きい。フラクタルの話なんて読みながらその類似にニヤニヤしたくなる。(あ、でも本は PTP に割いているページ数は少なくて純粋にサッカーのトレーニング方法に割いているページが多いから、ソフトウェア開発的視点での興味であればまずブログを読むべき。)
アスペクト
売り上げランキング: 1171
講談社
売り上げランキング: 10281
「あとで書く」と言いつつまだ感想書いていないけど、この本も同じメッセージを受け取った。個より全体。
毎日コミュニケーションズ
売り上げランキング: 5078