映画『ティンカーベル』はNerdのための物語

by tanabe on January 01, 2009

大晦日に見に行ってきた。

子供映画と馬鹿にならない出来で思わず泣きそうに。理由は後述。来年三十だしもう歳で涙もろいんじゃ、とかでは断じてない。はず。(来年・・・というかもう今年か。)

子供にとってはかわいい妖精が派手にとびまわるきれいで夢いっぱいの物語で、家族で見に行くのはもちろんおすすめ。ディズニーに期待されるファンタジーがふんだんに入っている。

話もさくさく進むし、登場人物ははっきり類型化されている(イジワル役はイジワルに徹する、とか。)ので寄り道せずに本筋だけをストレスなく追えて退屈する暇なし。観終わっても疲れ知らずの1時間20分。

なんだけど、実は・・・・・・

社内SE(そしてたぶん他の職種の人も)必見の自己肯定物語。特に一通り仕事もして自分の立ち位置や能力にある程度の客観的な評価ができてきた、という20代後半から30代におすすめ。

もう、観ていてティンクが問いかける自問自答の一つ一つに身におぼえがあって、ひそかに共感しまくり。よりによって、金髪の小さい妖精の女の子に。

まさかこんなディズニーの子供向け映画で自分の仕事観を問われるとは。

企業の表舞台で活躍している極一部の人たちを除くと、きっとどの仕事をしている人もこんな葛藤を抱えて日々を重ねているはず。自分の毎日の仕事が単なる歯車なのか、それとも誰かを幸せにするプロセスの一部なのか。

幸い現実は妖精の世界と違って、風の妖精か水の妖精かと決められているわけではないけれど、複数のキャリアとスキルを追い続けるわけにもいかないからけっきょく本質的にはまったく同じ問題を抱えている。

映画を観る中で自分のこれまでの考え方と今後のことを意識せずにいられる大人はいないだろう。

結末に向かうストーリーと判断を全部肯定するわけではないけれど、まぁ、万人向けのお話にするにはあそこはああいう結論にするんだろうな。あれはあれで社内 SE のロマンではある。

現実の中でどう立ち振る舞うべきかは大人なんだから自分で考えろというメッセージか。

あの流れこそ大人にとってファンタジーということを考えると、よくできた脚本なんだなとあらためて思う。

昨年見た「魔法にかけられて」もメタファンタジーな脚本の出来がすばらしかったし、最近のディズニー映画はバカにできない。あ、未見の人はこちらも必見。大人でも(むしろ、大人のほうが)おもしろいよ。

最後に余談。

途中出てきた会議の様子は「あー、こういう役員会あったんだろうなー」と心の中で爆笑。特にこうフェアリーメアリーの地味さというかぱっとしないかんじがね。技術系の役員て風采があがらない人が多いもので。