Web2.0で一しきり騒いだら

by tanabe on November 11, 2005

あちこちでどんどん本質的でなくなっていくWeb2.0論が(悪い意味で)おもしろい。

『特に深い意味はない。要素には注目すべき点がある。今後のWebで必須になってくる部分で事業へ活かせるものは、真剣に検討しろ。しかし、あとはBuzz。』

ってことでいいのでは?

個人的には、おそらくTim O'Reillyとか梅田さんとかの自覚的”おっちょこちょい”の人が「わっ」と言ったことに対して、字義どおりにおっちょこちょいな人が「わっわっわわー!!」と妙に大騒ぎになっているかんじが笑える。

積極的に参加はしないけど、笑えるので、まぁ、いいか、と。

codemaniaxさんのエントリやmojixさんの「ニューウェイヴ」や「イケメン」のエントリは気持ちとして近かった。

エンジニアの目指すべきものってのは、「テッキーのテッキーによるテッキーのためのテクノロジー」なのだろうか?

僕はそうは思わない。Web2.0的なものは手段であって目的ではない。

そういう意味で、「Web2.0」というラベルが一人歩きすること、そしてそれによってエンジニアが一喜一憂(右往左往)している様に不安を禁じえない。

「価値の本質」をもっと突き詰めなければ。

Web2.0的言説に乗りづらい理由
http://d.hatena.ne.jp/codemaniax/20051106/1131274997

「Web 2.0」とは、ニューウェイヴと同じように、新しい動向をなんでも放り込んでおくためのコンセプトだ。

Web 2.0は 「ニューウェイヴ」 なのだ
http://mojix.org/2005/10/03/155810

それは技術タームというにはあまりにも包括的で漠然としており、むしろ「マーケティング用語」だ。オライリー自身が主催する「Web 2.0カンファレンス」を盛り上げるための「バズ(buzz)・マーケティング」という側面もあった。

「Web 2.0」 は 「イケメン」 と同じく、格付けのための概念だ
http://mojix.org/2005/11/10/074358

だからこそ、「ニューウェイヴはなぜすごいか」を騒ぐんじゃなくて、「Aztec Cameraのどの点が天才的でどの要素が20年後の人の心も打つのか」を語らないといけないわけだ。(あとは、まずWeb2.0のAztec Cameraを見つけないとね。)

これは単なる憶測だけど、Tim O'Reillyは"Ajax"という単語が巻き起こした動きような意味で、"Web2.0"という単語で一連の自分の主張(しかもけっこう古いものも含まれる)に楔を打ちたかったんだと思っている。"Open Source Paradigm Shift"(2003)と呼んでいた頃に比べるとかなりTim O'Reillyの中での主張も固まってきていて、意地悪な言い方をするとそれに匹敵するくらい新しいコンセプトは生まれていない。"Open Source Paradigm Shift"のコンセプトに沿ってそれが甚だしく成長していっているのが現在だと思うので、一端"Web2.0"という括りで区切ったんじゃないかな。



この記事へのコメント
『自覚的”おっちょこちょい”』 <- うまいこと、言いますねぇ :-)。
Posted by brazil at November 11, 2005 15:11
お褒めに預かり光栄です。
表現を誉めて頂けるとは思わなかったので、なんだか気恥ずかしいです(^^;
Posted by tanabe at November 19, 2005 13:17