7/7にsalesforce.comのフォーラムへ行ってきた。
このフォーラムで行われたマーク・ベニオフの基調講演と、その後行われたsalesforce.com summer '05のデモンストレーションは未来の業務システムへの示唆溢れる内容だった。セミナーでSOAの抽象論を何度も聞くよりもこのsalesforce.comを理解することに努める方がSOAの理解はよっぽど早いに違いない。
まず、salesforce.comの新バージョンSummer '05の概要を説明し、それからこのシステムから読み取れるsalesforce.com、そしてマーク・ベニオフが視ている業務システムの未来を解説することにしよう。
salesforce.comはアプリケーションホスティング型のCRMだ。salesforce.comのサーバー上でアプリケーションが動作しており、ユーザーはWebブラウザなどからsalesforce.comへアクセスし、認証を受けることで同社の提供するサービスを受けることができる。アプリケーションホスティングスタイルの特徴を生かし、オンデマンドサービス(使った分だけ料金を支払う)であることを謳い文句にしている。
salesforce.comの新バージョンの大きな特徴は、次の3つだろう。
- multiforceによるアプリケーションプラットフォームの提供
- sforceによるウェブサービスを利用したやわらかいデータ連携
- customforceによる強力なカスタマイズ性能
salesforce.comは、summer '05からサービスを各レイヤーにおいて提供するようになった。
salesforce.com
オンデマンド・アーキテクチャ(SODA)
http://www.salesforce.com/jp/products/ondemand-architecture.jsp
§what's multiforce?
わかりにくいが、資料の文句をそのまま引用しておこう。
すべてのアプリケーションをたった一つのオンデマンド環境で
Multiforceはsalesforce.comのオンラインモデルを次の段階へと進化させるものです。新しいMultiforceオンデマンドオペレーティングシステムを使えば、全く新しいアプリケーションを作り出すことができます。CRMに限らず新しいビジネス分野や組織でもオンデマンドのメリットを享受することができるようになります。新しいMultiforceのメニューを使えば、Salesforce、Supportforceと同じデータ、セキュリティ、インターフェースを使いながら複数のアプリケーションに1クリックでアクセスすることができるのです。
つまり、Multiforceはsalesforce.comのオペレーティングシステムとの呼び方のとおり、異なる複数システムの共通のプラットフォームとして動作する。セキュリティや共有データの制御、複数アプリケーション間の遷移の制御といったWebアプリケーションの制御として不可欠なものについて共通して利用できるサービスを提供する。これにより、multiforceに則ったカスタムアプリケーションを作成しさえすれば、salesforce.comはCRMの枠を越えてあらゆる業務システムの共通プラットフォームとして動作することが可能になる。そして、これらのアプリケーションはすべてsalesforce.comの一部機能かのように呼び出すことが可能だ。
§what's sforce?
これもまずは資料の文章を引用する。
Sforceを使えば、Webサービスが現実のものとなることをお約束します。企業は従来のクライアントサーバー型のシステムの数分の一のコストと労力で、オープンで標準に準拠したアプリケーションの統合ができるようになるのです。Sforce6.0は更に強力なインテグレーション能力と新しいSforce6.0のWebサービスAPIを提供しています。
これは文章のままで理解可能だと思う。salesforce.comのための各種APIを提供するのがsforceだ。
§what's customforce?
salesforce.comの革新的なカスタマイズツール、CustomforceならどなたでもCRMを完全にお客様のビジネスプロセスにあわせてカスタマイズできます。いまやProfessionalEditionでも利用可能なCustomforce2.0の新しい機能を使えば、以前よりずっと間単にずっと強力に、全く新しいオンデマンドアプリケーションを瞬時に作り出すことができるのです。
そして、customforceは計算式やタブ、リストなどのカスタマイズを提供する。
デモの中ではGoogle Mapsをmultiforceで制御されたアプリケーションとしてsalesforce.comの中の機能として呼び出していた。これははてなマップやmap.rails2u.comの地図などがあるのでイメージしやすいと思う。はてなやmap.rails2u.comで、はてなフレームワークやRuby on Railsというプラットフォームの上でGoogle MapsをAPIから呼び出して実現しているのと同様に、salesforce.comはmultiforceをプラットフォームとしてGoogle Mapsを利用しているのだろう。
次回は『マーク・ベニオフとsalesforce.comの示す業務システムの未来(2)』として、マーク・ベニオフが視ている(であろう)業務システムの未来を解説する。