タイムマネジメントを考える(1)

by tanabe on June 29, 2005

 梅田さんのMy Life Between Silicon Valley and Japanでも言われていたが、タイムマネジメントは非常に重要な課題だ。

「The New Normal」時代の成功はすべてタイムマネジメントにかかっている。この時代の通貨は時間なのである。

ロジャー・マクナミーの講演「The New Normal - Career, Family & Personal Finance」を読む

たしかに学生時代にはあれほど呆れるくらいにあまっていた時間が、今はウソのように足りない。仕事をする、BloglinesでRSS Feedを読む、ブログを書く、移動する(兼・読書)、食べる、寝る、そしてそれぞれをしながら音楽を聴く。これで一日が終わってしまい、一週間はこの積み重ねで終わってしまう。

どうも、よろしくない。本当に大切なものに時間を費やせていないような危機感があるのだ。

 

 ということで、最近読んだ中からタイムマネジメントに関わる話、そしてタイムマネジメントを行うにあたって、事前にはっきりさせておくべき話をメモしておく。

DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビューの2005年7月号から。

Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 07月号 [雑誌]

コミットメントの自己管理術 − Do Your Commitments Match Your Convictions? −

 だれにでも大切なものがある。たとえば、仕事、私生活、家計などだ。しかし、あらためて自分の日常を見てみると、いちばん大切なことと、現実に金銭や時間、労力を費やしていることが食い違ってはいまいか。

この冒頭の文だけで、どきっとする人は多いだろう。まさにこれがこの記事のテーマとなっている。ただし、コミットメントすべきことに優劣をつけるという記事ではない。

コミットメントの対象が何であれ、個人的なコミットメントの自己管理を改善されることが、我々の願いなのである。

最初のテーマは「私生活上のコミットメントとは何か」だ。この答えは明快である。

日常的に最も重要なコミットメントとは、金と時間と労力をどのように配分するのかというものだ。どれも小さな意思決定であるため、ついなおざりにしがちである。とはいえ、積もり積もると、大切なことと実践していることとのギャップはますます広がりかねない。

 

 ここから、コミットメントを自己管理する具体的な方法の説明に入る。

 コミットメントを自己管理する第一ステップは、自分にとって重要なことを総棚卸してみることである。
 最も大切なことは何か、だれもが漠然と思い描いているはずだが、時にははっきりさせることが必要である。その結果、金、時間、労力を本当に大切なことに費やしているかどうかをチェックすることができる。

4列のワークシートを作成し、各列の項目はそれぞれ「私にとって大切なこと」「金」「時間」「労力」とする。

「私にとって大切なこと」へ記入していく際の注意点は以下とおり。

  • なるべく具体的な言葉で書くこと。「子ども」よりも、「教養と道徳観を忘れない子どもに育てる」や「子どもと一緒に楽しく過ごす」など。つまり、そこに込める価値観をより詳細に言語化する。
  • とりあえず手を動かし、納得が行くまで何度でも書き直す。
  • 5〜10の項目を挙げる、あるいは絞る。
  • 善悪や是非を考えず、まずは正直に自分にとって大切なことを書き出す。

 

 そして、次のステップだ。

 第二ステップでは、左端に書き出した項目に、実際のところ、どれくらいコミットメントを傾けているかについて詳しく検討する。

 この作業に具体的に取り組むに当たっては、まず日常的に消費している金、時間、労力が、自分の価値観と一致しているかどうかを検討する。

「金」「時間」のそれぞれについて、リストアップした「私にとって大切なこと」に対して費やされた項目を挙げていく。さらに第三のステップとしてその全体に占める割合を「金」「時間」いついて書き出す。

「労力」は、「私にとって大切なこと」の中で最も高い集中力を傾けていることについて”+”を、最も集中できていない項目に”−”を記入する。

これらのステップを実行するにあたって重要なのは、極力事実に基づいた数値を使うことだ。記憶を頼りにしてしまうと、「こうだったらいいのにな。」という恣意が入り込みがちである。

そして、ワークシートが完成したら、

 ワークシートが完成したら、最後に大切なことと資源の配分方法が一致しているかどうか、公正に分析する。
 肝心なのは、大きなギャップを見つけ出すことである。

時と共にコミットメントと信念の間にギャップが生じ、拡大していく可能性もある。このようなギャップの原因を突き止められれば、いたずらに拡大するのを防ぐことができる。

ここでは、主なギャップの原因を抜粋しておこう。

  • 大切だが、金などを費やす気にならない
  • 過去のコミットメントが足かせになっている
  • 「忍び寄るコミットメント」の罠にはまる
  • 他人からの期待が依存へと変質する

「忍び寄るコミットメント」については、少々説明を加えておこう。

人はしばしば、自分が何を引き受けようとしているのか、じっくり考えないままコミットメントを傾けてしまう。
 言外の約束を果たさなければならない、あるいは現在コミットメントを傾けている課題との間にあつれきが生じうるといった代償について深く考えることなく、気軽に新たな課題へコミットメントを傾ける。したがって、たくさんのチャンスに恵まれた人たちは、コミットメントのオーバーフローという悩みを抱えることになる。

 

 ここまでで、分析の大枠は整っている。ただ、実はこの後が難しい。

自分の価値観を見出すのは比較的簡単だが、価値観と現実のギャップを分析するのは案外難しく、ギャップの理由を分析するのはさらに困難であることに気づく。しかし、最も難しいのは、ギャップを埋めるために何をするかである。

HBRの本文にはこの困難を克服するための注意が細かく指摘されている。コミットメント再考時の落とし穴などは参考になるだろう。

ちなみに、コミットメントの見直しを強く迫られるのは、危機に直面したとき、だそうである。そういえば、Steve Jobsも「人の時間には限りがある。だから他人の人生を生きて時間を無駄にするな」と語っていた。これは自身の膵臓ガンの体験から得た教訓だったようだ。

 

この管理術を参考にすることには大きなメリットが二つある。

一つめは、タイムマネジメントへ入る前に、「時間を金で買う」あるいは「労力を金で買って時間をつくる」という選択肢を広げておくことができることだ。金は増やすことが可能だが、時間はそうはいかない。

そして、タイムマネジメントをするにあたって、その目的をよりはっきりさせることができる。「時間を適切に配分する」という場合の、「適切」が何を意味するのか、それを吟味することができる。

「己の価値観と行動のギャップを管理する」という考え方は、これまで以上に重要なものとなるだろう。