詰まったら・・・

by tanabe on May 05, 2005

梅田さんのブックマークから見つけた「羽生――21世紀の将棋」という本の創作ノートからメモ。

もう一つ、『将棋世界』編集長の大崎善生から、こんなことを訊かれたことも、きっかけになっている。
 「保坂さん、小説書いてて詰まったらどうする?」
 「それまで書いたところを読み直す」
 「羽生も同じことを言ったんだよ。指し手に詰まったら、それまでの指し手を何度も辿り直すんだって。それまでの指し手の流れに一番素直な手が、一番いい手のはずだって言うんだよ」
 それまで棋士は、自分の思い描く理想形を実現させる手が一番いい手だと思っていた。ここでも羽生は、いわば「主体」を放棄して「法則」についている。これはもう小説や音楽や絵画とまったく同じことで、作品というのは作者の当初の意図を離れて、その作品固有の法則や運動を持ちはじめる。そのとき、作者の「主体性」なんか関係ない。

なんかもやもやと思ったのだけど、言語ではっきりできるレベルまで具体化できなかったのでメモだけ。

筆者の方には、将棋愛好家ではない「あんまりわけのわからないところ」での引用となってしまい申し訳ないかぎり。