こんにちは。能動的音楽好き・挫折カテ所属のタナベです。
梅田望夫さんのブログ経由で知った丸山茂雄氏のmF247について、現時点での感想を書いてみたいと思います。
いきなりですが、今mF247について感じているすべてをきれいに言い切ってくれている文章があるので引用します。
最初の疑問には暗黙の前提がある。「無料で配布されているソフトウェアからは収入を得ることができない」というものだ。過去においては確かにそうだった。しかし、現在ではこれはもうあてはまらない。
私はソフトウェアを開発している。私のソフトウェアには価値がある。それがたとえ無料で配布されていても。価値があるソフトウェアには、それからお金を生む方法がある。
私のソフトウェアに価値があり、それからお金を生む方法があるならば、無料で配布されているかどうかに関係なく、それから収入を得ることができる。なにもソフトウェアをシュリンクパッケージで販売しなくても、ソフトウェアビジネスはできるのだ。というか、もはやシュリンクパッケージビジネスができるのはマイクロソフトなど限られたビッグプレイヤーだけだろう。
ソフトウェアビジネスのほとんどのプレイヤーはソリューションを提供する。オープンソースソフトウェアはそのコンポーネントである。彼らにとって、そのコンポーネントが存在し続けることは価値があり、開発を支援することには意味がある。
これは音楽に関する言及ではありません。Rubyというプログラムの産みの親、まつもとゆきひろ氏がご自身のソフトウェアとオープンソースというものについて語った言葉です。
http://www.rubyist.net/~matz/20031006.html#p01
Rubyはオープンソースと呼ばれる形態で無料配布されているソフトウェアであり、まつもと氏はこのRubyを開発すること自体からは直接の利益を得ていません。(今は職務としてRubyの開発をされているかもしれません。ただ、少なくとも開発開始〜普及の当初はそういう状況ではなかったと思います。)
しかし、文中で言われているとおり、まつもと氏はオープンソース開発者として生活の糧を得ています。それが可能となる理由が「私のソフトウェアには価値がある。それがたとえ無料で配布されていても。」であり、生み出したソフトウェア自体が持つ価値が、お金を生み出す原動力になっています。
これが、私から見たmF247の基本コンセプトと同じ方向性を持っていると感じるのです。(mF247サイトイメージ参照)
まず価値のある音楽を生むこと。そして、その価値から湧き出るところで収益性を持たせてビジネスを成り立たせること。
その根底にあるのは、「もはやシュリンクパッケージビジネスができるのはマイクロソフトなど限られたビッグプレイヤーだけだろう。」の発想でしょう。シュリンクパッケージビジネス=CDなどによる楽曲自体の販売というモデルが機能するのか?という疑問だと思います。
そして、その後に続く、
ソフトウェアビジネスのほとんどのプレイヤーはソリューションを提供する。オープンソースソフトウェアはそのコンポーネントである。彼らにとって、そのコンポーネントが存在し続けることは価値があり、開発を支援することには意味がある。
という文章は、オープンソースのプログラムよりの書き方ですが、その本質的な部分はやはりmF247にも共通する姿勢だと思います。つまり、ソフトウェアをエンジンとして、その周辺に生まれる無限の可能性をビジネスとして生かしていくことで、ソフトウェア自身が生き残る道を探るという姿勢です。
"プログラム"や"録音された楽曲"という、デジタル環境下では容易にコピーが可能となる二つのソフトウェアが、将来像として同じ方向性を見せているのはとても興味深く、また納得のいくものでした。
「コンテンツビジネスは月額固定のサブスクリプションモデルで決まり!」という声の根強い中、新しい収益モデルを試行錯誤であろうmF247の今後の動向は非常に楽しみです。(個人的にはmF247はスタートしてからどんどん新しいスタイルに脱皮していくだろうと思っています。)
以下は、能動的音楽好きのロングテールをごっそりとすくい上げるかもしれないmF247話のリンク。
すべて「丸山茂雄の音楽予報」から。
mF247の設立のまえがき
http://d.hatena.ne.jp/marusan55/20050803mF247をなぜ作ろうと思ったのか?
http://d.hatena.ne.jp/marusan55/20050805ネットの開放性は危険で悪なのか?
http://d.hatena.ne.jp/marusan55/20050813一夜明けて
http://d.hatena.ne.jp/marusan55/20050819ブログの反響
http://d.hatena.ne.jp/marusan55/20050821更なる援軍が
http://d.hatena.ne.jp/marusan55/20050823能動的音楽好きはたくさんいる筈だ!!
http://d.hatena.ne.jp/marusan55/20050825
余談 たぶん、路上ライブやライブハウスで知らなかったアーティストを見て起こる「うわ、これすごいよ。サイコー!誰かに聴かせてー!!」っていう無意味に熱い気持ちをインターネットで増幅して皆ハッピーになりましょうっていう話なんだろうなぁ。昔、元SMEのいしのだなつよ見てそんな気になりましたよ。今でも好きだけどね。