へー、本の値段って高いのか。
私は、定期購読を含め月に数万単位で書籍を購入しているのだけれど、内容との相対的な価格としてはあまり高いと感じたことはなかったなぁ。
というか、買う本の9割がビジネス書なので、価格以上のリターンが得られないと判断したら買わないし。働き始めてからこれまでに購入した本と、給料の上昇の相関を考えると、私にとっては価値ある本はタダより安い。
小説を買うときなんかも、その本から得られる(であろう)価値と価格の関係を判断しながら買うので、自分の判断にミスがあったと感じる(ハズレを引いたとき)ことはあっても、価格が高いと直接感じたことはなかった。むしろ「安かった。ありがとう。」と思うことの方が多いな。
ということで、気持ちとしては「くだらない本は買わないように注意しよう」の一言に尽きるのだけれど、それではあんまりなので、ちょっと話を続けてみる。
本の価格を安くするには
議論の対象となっている書籍がはっきりしていないので言及が難しいのだけれど、ビジネス書というよりもいわゆる書店の店頭で平積みになるような本に代表される”一般的な本”を対象としている模様。小説もあれば、雑学の載っているキャッチーな本、それからそのときに注目を浴びているテーマの本(今なら株式とか堀江氏かな?)なんかをイメージすればいいだろうか。
議論を整理する。
まず、本の価格は製造にかかる諸費用から販売の価格が設定されているというのが前提になっている。内容との相関で価格が決められているわけではないわけだ。
一方で、読者が本の価格を評価する際は、本の内容とその価格との相対的な関係を重視するようだ。
このギャップに「本が高い」という認識が生まれる。
変数は、本の価格・本の内容・読者 になりそうだ。
ということで、「ある編集者の気になるノート」さんに挙がっている作り手側の対応というのが、
本の値段をもっと安くするか、その値段を高いと感じさせない本を作るかだ。
である。
対応を一つ追加する。
その内容でも価格以上の価値を感じる読者に買わせる。
これでも、相対的な本の価格は安くなる。(もちろん心証としての価格、だ。)
「なぜ本が高いと感じるのか?」がキーとなる
せっかく本好きとしては面白い話題なので、議論を混ぜ返して終わろう。
前提の部分がけっこう怪しいので、本職の方はもっと突き詰めて考えてみても面白いかもしれない。
◆前提1 「まず、本の価格は製造にかかる諸費用から販売の価格が設定されているというのが前提になっている。」
コストの部分を削る仮説はけっこう思いつく。
そもそもコストを無視して、内容ベースの価格設定をしてやれば、読者にとっての価格は必ず適正価格になるわけだ。
それでもビジネスとして成り立つコスト構造を考えれば良いのであれば、当初のコストを徹底的に落として、価値を感じた人から継続して支払いを受けて利益を出すようなモデルがあっても良いと思う。
例えば作家単位で考えて、一冊目は原価ギリギリで購入可能。以降の作を読みたければ、定期購読料をサービス料として継続して課すとか。
どのように作るのか?誰に届けるのか?どう届けるのか?何を届けるのか?など、コストと絡んで検討できる方向性は多いと思う。
前者の答えを選ぶと、これは業界全体を巻き込んで考えなければいけない問題になる。
同時に、僕の不勉強をさらすようで恥ずかしいが、流通にメスを入れることで(それがどれほどの困難さを伴うかすら不明)、どれだけ定価に跳ね返ってくるかもわからない。
このように書いてあったので、こちらの話はこの辺でおしまい。
◆前提2 「一方で、読者が本の価格を評価する際は、本の内容とその価格との相対的な関係を重視するようだ。」
なぜ本が高いと感じるのか?
そもそものスタートであるこの問いは重要なキーだろうと思う。
本当に内容に対してだけなのか?あるいは、内容というのは具体的に何を指すのか?内容に色々な種類があるのならば、特に何をより良くすれば、読者は価格が安くなったと感じるのか?
仮説レベルでぱっと思いつくだけでも、本の価格への心証を左右する要素として、「本の持つ情報自体」と「読書から得られる体験」の二つが考えられる。
ビジネス書やハウツー本なんかは「情報」に価値がある本なのだろう。そして、小説やエッセイなんかは「体験」が重視される気がする。
うん。やっぱりこの問いが大切な気がする。
本が高いと感じるときに、何に対して高いと感じているのか?なぜそう感じるのか?
誰が本は高いと感じているのか?(そもそも顧客として想定しずらい層が高いと感じている可能性もあるわけだ)
面白い本、役に立つ本、なんとなく大切になる本、楽しみにしてます
酩酊状態のため、構造がまとまらない文章になってしまった。
この話の決着はともかくとして、「ある編集者の気になるノート」さんのこの一言がけっきょく読み手にとっても一番うれしいのは間違いない。
デミアンさんのコメントにあるように、内容から見ても高くはないと思える本を、一生懸命作っていくしかないと考えている。
(この結論は極真白帯さんとまったく同じである)
一読書好きとして、良い本が増えることを楽しみにしてます。
参考エントリ)
「ある編集者の気になるノート」さん ”本の値段は、素人が思っているほど高くはない。”
「ある編集者の気になるノート」さん ”それでも本が高いのならば、僕らはどうすればいいのだろう?”
「書籍編集者esのつれづれ書評」さん ”本は高いか、安いか? 本の適性価格とは”
「打率二割八分五厘」さん ”本の値段”
「たとえば」さん ”それでも本が高いと感じる3つの理由。”
「ある編集者」さんのページと、そこからTBされている方々のページを拝見して、いろいろ思ったことがあります。
実は、私は先日、画の描き方の本を制作しました。これ、大体200Pくらいで定価は1800円くらいになりそうです。
若干高いと思われる方も多いかもしれま
本の値段2【打率二割八分五厘】at April 13, 2005 20:37