Tim O'Reilly Speach from EclipseCon2005

by tanabe on March 06, 2005

せっかく資料の公開をしてもらっているので、EclipseCon2005でのTim O'Reillyのプレゼン資料からその主張を読み取りたい。

まずは理解するための予備知識をまとめた部分を抜粋して紹介。"Open Source Paradigm Shift"の内容が非常にわかりやすくまとめられている。年季を経て、さらに本質に向かって洗練されたかんじだ。


PCでの”パターンの失敗の形”

  • 1981: IBM PC built of commodity components
  • Market expands a million-fold, breaking IBM’s industry dominance
  • Dell becomes #1 by embracing commodity economics; IBM eventually abandons market
  • Software separate from hardware: IBM signs away future to Microsoft

PC時代の構造。

  • プロプライエタリなソフトウェア(MS WindowsやOffice)
  • 標準化されコモディティ化されたコンポーネントから成るシステム(DELL)
  • 独占的なハードウェア(intel)

GNU/LinuxやBSD上で走っているユーザーフレンドリなアプリケーションとはどんなものがあるか?

  • Google
  • amazon.com
  • PayPal
  • YAHOO! GetLocalMaps

利用者数から言えば、他のLinuxアプリケーションと比べても、これらのアプリケーションがLinuxを代表するアプリケーションと言っていいだろう。こうしたアプリケーションはオープンソースの開発者によって作られ、オープンソースのインフラの上で稼動している。

Another Pattern Failure?

These applications are created by open source developers and run on an open source platform, but…
- Companies are fiercely proprietary
- Source code is not distributed
- Licenses have no effect
- Value is in data, not just code

O'Reillyはこういった形のビジネスを行う企業に対して、新しい”パターンの失敗の形”を見ている。

  • (オープンソースで成立しているのに)企業は非常にプロプライエタリ
  • ソースが公開されていない
  • ライセンスも効力を及ぼすことができない
  • そもそも重要な価値はデータにあり、コード自体にあるわけではない

インターネット時代の構造。

  • プロプライエタリなソフトウェアサービス(eBay, Google, amazon.com, MAPQUEST)
  • コモディティ化されたコンポーネントのインテグレーター(eclipse, O'Reilly, Mozilla, Apache, Linux, redhat, spike source, SourceLabs, IBM)
  • サブシステムとして動作するシステム(Jboss, MySQL, NAVTEQ, NetworkSolutions)

導入部の締めは「イノベーションへの解」からの一節となっている。

"The Law of Conservation of Attractive Profits"

"When attractive profits disappear at one stage in the value chain because a product becomes modular and commoditized, the opportunity to earn attractive profits with proprietary products will usually emerge at an adjacent stage."

-- Clayton Christensen
Author of The Innovator's Solution
In Harvard Business Review, February 2004

イノベーションへの解―利益ある成長に向けて

「製品がモジュール化されコモディティ化したことで、魅力的な利益がバリューチェーンのあるステージからなくなったという場合、プロプライエタリな製品により魅力的な利益をあげるチャンスは、大抵その隣りのステージへと移っている。」

7ページ下段のスライド、8ページ上段のスライドを比べ、どこの利益がどこへ移ったかを見比べてほしい。(Open Source Paradigm Shiftの頃の『O'Reillyはインターネット時代のIntel Insideだ』という主張は引っ込めたのだろうか?コンポーネントを結びつける役割へ移っている。)

そして、いよいよここから本題へと入っていく。

なお、今回の内容はスピーチによる補足なしなので、変わりに「英語で読むITトレンド」時代の梅田氏の解説を参照しながら読み進めるとスムーズに理解が進むと思う。以前、私のエントリで参照先をまとめているので、それから辿って参照して頂ければと思う。