「Googleがドメイン登録業者の権利を取得」の本当の意味は?

by tanabe on February 04, 2005

CNET Japanの「グーグル、ドメイン登録業者の権利を取得」という記事を読んだ。今、Googleの話題としては「独自ブラウザ開発か?」という話が盛り上がっているようで、この話は地味な印象が拭えない。「しかし、今のところ同社にウェブアドレスを販売する計画はない。」という点も話題を呼ばない一つの要因だろう。

しかし、私は中々興味深い動きだと思っている。なぜなら、私はこのGoogleの動きを「インターネットでのマーケティングへの新たなアプローチ」であると受け取っているからだ。

記事からの引用を含めながら、ちょっとGoogleの意図を想像してみたい。


Googleの目的は「ドメイン登録データ」そのもの

まず、Googleとしての権利取得の意図はこう語られていた。

「Googleのある関係者は米国時間2月1日、「Googleがドメイン登録業者になったのは、インターネットのドメイン名システムについてもっと学ぶためだ。われわれは、この情報が検索結果の品質向上に役立つと考えている」と語った。」

私は、むしろこの視点が興味深いと感じた。

「ドメイン登録業者に認定されたことで、Googleは独自のポリシーや手続きを設定し、自社のGoogle.comのウェブアドレス構造をもっとうまく管理できるようになるかもしれない。また、他のドメイン登録業者からの評価も上がり、各社の登録データに容易にアクセスできるようになる可能性もある。業界幹部によると、これらのデータへのアクセスが可能になれば、Googleはインターネットの成長をうまく把握できるようになるという。ただし、このデータは大半のサードパーティーが利用できるものだという。 」

サードパーティーも利用が可能ということだが、Googleの意図は「ドメイン登録データへのアクセスにより、インターネットの成長をうまく把握すること」にあるという意見である。

Googleはどのようなサービスを始めるのか?

さて、本家CNET NEWS.COMの記事へのTBにこのような意見があった。

「If Google starts selling domain names to customers, will it mean that their customers will get an added benefits (like Full Google Juice)? As Google has done it before again and again, if they jump into domain registration business, I am sure that they will introduce something that will be unique and which will benefit the customers. 」

("IT Digest - Ingenious Tejas' Digest Blog"の「Google becomes a registrar」より)

「あのGoogleのことだから、ドメイン登録ビジネスを始めるときには何かまたユニークで利用者にメリットのあるサービスを披露してくれるに違いない!」という意見だ。私もこの意見に同意したい。

では、その「ユニークで利用者にメリットのあるサービス」とは何になるのだろう?大分、気が早いのだけれど予想をしてみる。

私は、(期待も込めているが・・・)その+αのメリットはお得意の「無料」になるのではないかと思う。ドメイン登録・更新料無料のドメイン登録サービスである。ドメイン登録・維持にかかる費用は意外と馬鹿にならない。例えば、業界最安値を謳うlivedoorの場合はこのような料金体系になっている。(本当に最安値かどうかは保証しない。)

そのような中でただ一つの無料ドメイン登録サービスを開始すれば、かなりの登録が集まるだろう。おそらく既存のサービスからシフトしてくる人たちも大勢いるだろう。そして、Googleはこのサービスを通してドメイン登録データの多くを握ることになる。いわば、インターネットの住所マップを手に入れようとしているのだ。そもそも強力な検索サービスを提供しているGoogleは、人の動きをwatchする手段は既に握っている。

ドメイン登録は新たなインターネット・マーケティングの手段だ

この検索エンジンとドメイン登録の2本柱で、より強力なインターネット界の地図を描こう(そしてそれを独占しよう)というのが、今回の「Googleレジストラの権利を取得」というニュースの裏にあるGoogleの本当の意図なのではないか、と思うのである。

まぁ、実際はドメイン登録サービス自体の収益性を確保するためのモデルを考えなければならないし、リソースの確保も必要である。単なる私の妄想に終わるかもしれないが、Googleのインターネットビジネスにおける戦略の一環としては上記の捉え方の方がしっくりとくるような気がするのである。

# と、急に頑張って長文エントリを出してみたのには理由がある。
# こここちらの文章に触発されたのである。単純なやつ。
# まぁ、うちのブログには下記のような傾向があるので、あれなんですが。。
# 「人の内容を要約した文は比較的好評でも、自分の意見を書くと不評」


この記事へのコメント
こんにちは。
いつも楽しく観覧してます。

> Googleはこのサービスを通してドメイン登録データの多くを握ることになる。いわば、インターネットの住所マップを手に入れようとしているのだ。

なるほどぉと思ったのですが、ちょっと疑問が。
インターネットの住所マップを手に入れることで、具体的にはGOOGLEにはどういうインターネット・マーケティングが可能とお考えでしょうか?


Posted by isi at February 04, 2005 12:09
isiさん、コメントどうもありがとうございます。
お返事が遅れてしまい、申し訳ありませんでした。

>インターネットの住所マップを手に入れることで、具体的にはGOOGLEにはどういうインターネット・マーケティングが可能とお考えでしょうか?

あまりに的確なご指摘です。実はこれを書いているときにもこの点に一番悩みました。そして、具体例を挙げることを避けて曖昧にごまかしてしまったのですが、よくなかったですね。

得られる情報の可能性として考えたのは、ドメイン登録時の登録情報のような静的な情報、それから名前解決の際に得られるアクセス情報のような動的な情報です。例えばサイトへのアクセスの傾向として、検索エンジン経由のアクセスが多いサイトだとか、リピーターが多いサイトだといった情報はこれまでのGoogleは持っていない情報ではないか、と思ったわけです。

んー、いまいち回答になっていないですね。すいません。後日、あらためて回答したいと思います。ごめんなさい。
Posted by zep716 at February 07, 2005 17:42